近年、世界的規模の地球温暖化傾向や、環境問題に対する関心の高まりから、
資源節約の一環として、省エネルギー化が非常に重要な課題となっており、
工場やオフィスなどの空調システムにおいても、
温度分布や温度変化を正確に把握し、効率的に空調を行うことが求められてきています。
しかし、従前の温度センサは接触式・点測定であり、センサの存在が
温度場を乱してしまう可能性があることや、測定空間内の温度分布を把握するには
測定点が足りない、といった問題点があります。
この問題を解決する方法の一つとして、
音響波を用いた空間温度測定法が提案されています。
我々の研究室では、この、音響波による空間温度測定について、
装置の可搬化・操作の簡易化を図るとともに、
様々な生活空間における環境情報取得システムの構築を目指しています。
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可搬型空間温度測定装置(機械機構部) |
音響波を用いた測定やイメージングは、よく知られたところでは、
医療用の超音波診断装置、魚群探知機、ソナーなど、すでに幅広い分野で
実用化されています。
これらの装置の性能向上を図るためには、これらの装置の、
音を出す部分(音源)から、どのような音が出ているのか、を
詳しく知る必要があります。
我々の研究室では、この音源(音響波振動子)から、どのように音響波が
放射されるかを詳しく調べ、その応用として、音源をうまく組み合わせる
ことによって、鋭い指向性をもったスピーカを構築することを目指しています。
正方形や長方形の形状を持つ音響波トランスデューサから放射される
音響波は、
受信する位置・距離に応じて、その波形が複雑に変化することが
知られています。
我々の研究室では、その特性を応用して、単一の矩形トランスデューサ、
あるいは、少数要素の矩形トランスデューサアレイを用いた、
音響波による距離・方向センサの構築を目指しています。
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矩形トランスデューサの配置(反射点P (r )) |
反射点探索の数値計算結果の例 |